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『チープ』という言葉に生まれて初めて向き合った、あるクリエイターの話 #総制作費ワンコイン映画祭

更新日:1 日前



AICU協力「総制作費ワンコイン映画祭」でAICU賞を受賞したクリエイター、赤獅子屋 (X@Akajishiya)にご寄稿いただきました。生成AIを使って動画を作るクリエイターたちは、どんな思いとバックグラウンドで作品を生み出しているのか。その素顔に迫ります!



初めまして。普段はとあるメーカーで工場のDXを推進するAIエンジニアをしております。赤獅子屋と申します。「衝動を、ハイクオリティに」をモットーに、AIを使用した短編映画の制作に日々いそしんでおります。



この度はX(旧Twitter)にて2025年11月12日から12月17日まで開催されていた「総制作費ワンコイン映画祭」にて、チープ部門のノミネート、ならびにAICU賞を光栄にもいただきました。



タイトルは「Ko-Min-Kan 予算5ドルのデスゲーム」でございます。



この作品の制作の裏側と、私自身のご紹介を、この場を借りて徒然と書いてまいりますので、お時間のある方はお付き合いいただければと思います。



赤獅子屋って何者?



先ほど書きました通り、私は本業はメーカー所属のエンジニアであり、創作とは少し距離を置いた仕事をしております。そんな私が、なぜAI映像を制作しているのか、というところからお話させていただきます。



私の創作の原点は、大学受験時に気分転換で見ていたYouTubeの「ラーメンズ」でした。



当時、広告収益をすべて寄付することを宣言しつつ「ラーメンズ」というお笑いコンビのネタ、並びにネタ制作を担当している小林賢太郎氏がプロデュースした演劇「KKP」シリーズがYouTubeで全編無料公開されていました。



その作品に衝撃を覚え、「こんな話を作りたい!見せたい!」という思いが強まり、大学合格後に迷わず演劇サークルに入りました。



私にとって幸いだったのが、このサークルがオリジナル作品を制作しながら「演じること、見せることを楽しむ」というコンセプトだったことです。



クオリティはもちろん最重要視しつつも、ただ厳しくやるのではなく、作ることも演じることも全力で楽しむことができました。



大学卒業後はコンテンツを制作する企業に新卒で入社し、そこで「生成AIを使用して漫画を作る」というミッションを拝命しました。



当時は Midjourney や Stable Diffusion が出たてということもあり、社長の先見の明を感じつつも、いちエンジニアには技術的に荷が重い仕事でした。



結果は発売したものの惨敗……。私自身の技術の未熟さを痛感するとともに、「仕事で作れと言われたものを作るより、自分が作りたいものを作りたいんだ」ということを改めて実感した瞬間でした。



その後その会社から現在の会社に転職し、創作活動は趣味としてStable Diffusionで制作をする程度になりました。



「カナヤマコヤネ」という名義で、抽象画や実験的な現代作品などアート色とメッセージ性を重視した作品を発信していました。それも撃沈……。世間が求めていたAIアートは、多くが「かわいい女の子」や「かっこいいロボット」「わかりやすいイラスト」だったのだと思い知らされました。



作りたいものがウケない……そんな悶々とした日々に現れたのが、Nano BananaとSora2でした。



この2つのツールを使えば、「作りたいものがウケる形で作れる!」 そう確信しました。



私は込めたいメッセージやコンセプトを1枚の絵や端的な文章で発信するより、長さを持ってじっくりと伝えたかったのです。



勇み足で処女作「OIL」をYoutubeチャンネルにて公開しました。





こちらは公開後一か月で200再生を超え、「刺さる人には刺さる」作品になったのではないかと思いあがっております。



そんな感じで紆余曲折を経て、趣味でAI映画を作っている。



それが、私です。



「Ko-Min-Kan 予算5ドルのデスゲーム」ができるまで



本作はすべてアプリ版のSora2で制作しており、制作フローに特別なポイントはこれといってありません。



なので、「Ko-Min-Kan 予算5ドルのデスゲーム」が生まれた経緯や裏話をご紹介していきます。



ストーリー



ストーリーは「総制作費ワンコイン映画祭」というタグを見つけた瞬間に数分で出来上がりました。



「制作費を安く抑える」というお題が最も映えるテーマは何だろう……と思った際に、「制作費がとんでもなく高いテーマ」だと逆説的に考えました。



「お金がかかってそうな映画」の中で「デスゲーム」という主題がまっさきに思いついたので、こちらを採用しました。





キャラクター



作品におけるキャラクターは「4人の男女」くらいがボリュームとして最も適していると考えました。



サラリーマン、実家暮らしの男性、売れない女優、女子高生の4人を当初は想定していました。



しかし、Sora2でデスゲームをやらせようとすると、いくらチープなものでも女子高生がフィルターに引っかかってしまう、という問題が発生しました。



「じゃあいっそのこと年を取らせよう」という発想で、ラストガールとなるユカはおばあちゃんになりました。



結果としてデスゲームとしてはありきたりじゃないのに、日常としては納得感がある、絶妙なキャスティングになったと思っております。





コンセプト



作品における最大の課題として、「どれだけチープにできるか」を自分に課しました。豪華な映像や凝った演出があれば、作品として魅力のひとつになるのは当然です。



しかし今回は「総制作費ワンコイン映画祭」。 いかにチープで、それでいて魅力的にするにはどうすればいいか、というポイントを作品の各所に徹底的にこだわりました。



まず「舞台」



500円くらいで借りられるところとして公民館にしようというのは一瞬で思いつきました。



海外アプリであるSora2が日本の公民館をどれだけ出してくれるかな……と不安だったのですが、公民館とは何で、天井や床の素材、置かれているものなどを丁寧にプロンプティングすることで意外とあっさりと再現できました。





次に「役者」



「制作費5ドルなんだからプロの役者なんか呼べるわけない」ということを大前提に、「素人感」を最重視しました。 棒読みだったり、オーバーすぎたりといった「いかに大根役者っぽく見せるか」をプロンプトにねじ込み、各カットを生成していきました。



こちらも、「Sora2に大根芝居の学習なんてあるかな……」と心配でしたが、やってみれば意外と何とかなりました。





最後に「演出」



「公民館だから血しぶきとか汚れるのはダメそうだな」「どうせなら死んだ演出もチープにしたいな」という思いから、「死んだら紙のドクロが降ってくる」という演出を採用しました。



これ以外にもゲーム進行やオチなど、「いかにチープにするか」を徹底的に演出に盛り込んで作っていきました。





まとめ:「チープさとはリッチに考えることである」



今回の作品作りに臨んで私が得た教訓として、この言葉を残します。



作品全体を通して徹底的にチープにするということは、「作品のすべての要素を考え抜き、そこに『チープ』という調味料をまんべんなく振りかけることだ」と感じました。



舞台もチープ、役者もチープ、演出もチープということは、それぞれの構成要素を解釈し、分解し、再構成することだと感じました。



今回は作品だけでなく、ショート動画として制作した「役者たちの宣伝動画」も審査に加えていただきましたが、これらも「チープな彼らなりにどうすれば作品を見てもらえると考えそうか」を考えた結果の試みでした。




これは「チープ」というテーマだけでなく、すべてのメッセージを作品に込めるうえで必要不可欠なことだと感じます。



改めて、今回の経験と貴重な賞を糧に、今後も作品作りに励んでまいります。



今後の展望



今後の作品作りとしては、次回作を鋭意制作中でございます。…が、現在15分ほど作ってもまったく終わりが見えず、30分から1時間ほどの長編になりそうです……。



完成し次第、YouTubeチャンネルで公開いたしますので、のんびりと、温かい目で見守っていただければと思っております。



また、Youtube運営や作品作りとしては、赤獅子屋は「チームでの制作体制」を目指しております。



今回の作品で興味を持っていただいた方は、ぜひお気軽にDMなどでお声がけください。



感想なども含めて、皆様の声をお待ちしております。



それでは、長々と失礼いたしました。



今後とも応援のほどをよろしくお願いいたします。



赤獅子屋 X(Akajishiya)





Originally published at note.com/aicu on Jan 5, 2026.

 
 
 

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