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AI日本国際映画祭イベントレポート

更新日:3 日前


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― AIと映画が交わる「創造の最前線」を体感 ―

2025年11月2日、有楽町の東京イノベーションベース(TIB)にて開催された「AI Film Festival Japan 2025(AIFJ2025)」に、初日ハイライトをお送りします。


本イベントは世界各国からの、ナラティブ、アニメーション、ドキュメンタリー、実験映画など400本以上の応募から、AIを活用した70本以上の短編作品が上映されました。


また、AI倫理、映像制作の未来、AIによる作品評価などをテーマにしたトークセッションも行われ、AICU代表の白井暁彦氏(しらいはかせ・デジタルハリウッド大学大学院客員教授)をはじめ、映画監督・研究者・企業の専門家が登壇。生成AIがもたらす新しい映像表現と、作り手・鑑賞者双方に求められる倫理や創造性のあり方について、熱い議論が交わされました。


AIと映像が融合し、「人間とAIの共創による新しい物語」が生まれる現場を体感できる、貴重な一日となりました。


12:30 開場


13:30 オープニング作品上映 Toby Hyder監督「Bones of Yew」Toby Hyder監督 登壇



AICUによる解説: 「yew」は、イチイ科の常緑針葉樹である"イチイ"のことです。イチイの木材は、その硬さと弾力性から弓、ロングボウに最適でした。内側の心材と外側の辺材で性質が異なるため、その特性を活かして強力な弓が作られました。イチイは百年戦争中のクレシーの戦い(1346年)やアジャンクールの戦い(1415年)など、数々の重要な戦いでイングランド軍の勝利に貢献しました。イチイのロングボウは、フランスの騎士団に対して圧倒的な射程と連射速度の優位性をもたらしました。ロングボウ用のイチイの需要は非常に高く、イングランド国内のイチイの木は乱伐により枯渇寸前となりました。そのため、イングランドは最終的にロシアやスペイン、イタリアなどヨーロッパ大陸からイチイ材を輸入するようになりました。イチイは非常に長寿な木であり、古代ケルトやキリスト教の文化において、死と再生、不死の象徴とされてきました。教会や墓地に多く植えられていたのは、軍事的な需要とは別に、こうした文化的・宗教的な理由も関係しています。


プレトーク「なぜ今、AI映画祭なのか」モデレーター:池田裕行

登壇者:白井暁彦(AICU代表・デジタルハリウッド大学大学院客員教授)小澤健祐(AISX協会代表理事)





開会挨拶 池田裕行



セッション1「AIは映像制作をどう変えるか?」モデレーター:会田正裕

登壇者:Yves Dalbiez(映画監督)/辻健宏(朝日広告)/曽根隼人(映画監督)/大沢幸弘(Dolby Japan株式会社 代表取締役社長)


AIFJ2025のセッション「AIは映像制作をどう変えるか?」では、4人の登壇者がそれぞれの専門的な視点から、AIがもたらす変化、現状の課題、そして未来の可能性について議論しました。


各登壇者の主な視点

1. Yves Dalbiez氏 (映画監督 / アニメーション)


  • 技術の速度と制御: AI技術の進化は非常に速く、2年前のツールは既に古いと指摘。アニメーション制作におけるAIの最大の課題は「制御(コントロール)」だが、それも急速に改善している。

  • 未来の制作: 将来的には、AIがクリエイターのスタイルや思考を深く理解し、パーソナライズされる。マシン(AI)と対話し、思考を具現化する制作スタイルが主流になると予測しました。


2. 辻健宏氏 (朝日広告 / プロセス)


  • プロセスの変革: AIは制作プロセスを根本的に変えるが、最も重要なのは「ドメインナレッジ(専門知識)」だと強調。AIが生成したものが良いか悪いかを判断する人間の知識と経験が不可欠です。

  • 期待と現実: 現状では、AIによる映像生成は多くの人が期待するレベルには達しておらず、試しても「思った通りにできない」のが実情であると指摘しました。


3. 曽根隼人氏 (映画監督 / クリエイティブ)


  • クリエイティブの拡張: AIは「コスト削減」のためではなく、限られた予算内で(日本とハリウッドの予算差に触れつつ)、より壮大でリッチな世界観を実現するための「ポジティブな力」として使うべきだと主張。

  • 限定的な活用: 自身の映画制作では、AIが有効だったのはVFXのごく一部(1%未満)だが、その部分では従来の合成手法を凌駕する結果が出た例を紹介。AIが得意な部分と人間が担うべき部分の見極めが重要と述べました。


4. 大沢幸弘氏 (Dolby Japan / 社会・ルール)


  • 歴史との比較: 「ゆっくり急ごう」と冷静な対応を呼びかけ。AIによる仕事の喪失や著作権問題への懸念は、過去のインターネットや動画配信サービス(YouTube)登場時と同じであり、議論を通じて解決されてきたと指摘。

  • 共存共栄: AIの影響は全産業に及ぶため、社会全体で新しい「共存共栄」のルールを築いていく必要があると述べました。


結論と「共進化」

セッションの最後には、AIと人間が互いに影響し合い、予想外のものを生み出す「共進化」の可能性が議論されました。特にDalbiez氏は、完璧な結果を目指す従来のCGとは異なり、AIは「不完全」であり、その不完全さが人間の想像を超えた面白い結果を生む点に価値があると締めくくりました。


AI日本国際映画祭2025 受賞作品発表

さて、こちらは本日のメインイベント、受賞作品発表です。


詳細については公式のリリースを待つこととして、授賞式の様子を紹介します。




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Networking Reception

公式パンフレットとなったAICUマガジンを手に、みなさん熱のある交流をされていました。




イベントは明日も開催されます!



メイン会場:東京イノベーションベース2階 【11月3日(月・祝)】

9:30 開場

10:30 セッション2「AI時代のドキュメンタリー」


モデレーター:福澤真由美

登壇者:浜野高宏(元NHKプロデューサー)/仲沢勇人(AI弁護士/ant法律事務所)


11:30 セッション3「AI映画『グランマレビト』の作り方」

モデレーター:池田裕行

登壇者:山口ヒロキ(映画監督/ガウマピクス)


12:45 特別講演 Toby Hyder(映画監督)


13:30 セッション4「アニメーションとAI」


モデレーター:土屋勝裕

登壇者:中山雅弘(株式会社Puri Prince 代表取締役)

赤堀重雄(アニメクリエイター)

齋藤潤(AI国王)


15:00 セッション5「AIによるAI映像評価」

モデレーター:栗本一紀

登壇者:那小川(Trans-N株式会社 代表取締役社長)/劉若一(Trans-N株式会社 Head of Corporate)


16:00 セッション6「MATILDA制作の舞台裏」

モデレーター:池田裕行

登壇者:遠藤久美子(映画監督)


17:00 クロージング作品上映 Simone Sighinolfi監督「2043」


17:15 Simone Sighinolfi監督によるマスターズクラス


18:30 閉会式 19:00終了予定


上映プログラム 【Day 2】

  • 10:00~10:50 Eプログラム(50分)


  • 11:00~11:50 Fプログラム(50分)


  • 12:00~12:50 Gプログラム(50分)


  • 13:00~14:00 受賞作品上映


  • 14:00~14:30 日本人作品上映


  • 15:00~16:10 招待作品(遠藤久美子監督)「MATILDA」(70分)※遠藤監督によるアフタートーク


  • 16:10~ 受賞作品上映


  • 17:00~ クロージング作品(Simone Sighinolfi監督)「2043」(15分)


会場は東京・有楽町TIBです https://tib.metro.tokyo.lg.jp/





Originally published at note.com/aicu on Nov 2, 2025.

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