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カンファレンスチェアの五十嵐健夫先生に聞く「Curious Minds」に込めた思いとは?~


2024年12月3~6日に東京国際フォーラムで開催されたSIGGRAPH Asia 2024。グラフィックに関わるあらゆる最新の研究発表や制作事例など盛りだくさんな内容でした。今回は主催者であるカンファレンスチェアの五十嵐健夫先生のインタビューをお届けします。


まずは、簡単なプロフィールのご紹介から。


所属   :東京大学大学院情報理工学系研究科

職名   :教授

専門分野 :ユーザインタフェース

研究テーマ:ユーザインタフェースおよびコンピュータグラフィクスに関する研究


五十嵐先生といえば、東京大学大学院在学中の1999年のSIGGRAPHにおいて優秀論文を受賞した「手書きスケッチによるモデリングシステム Teddy」が有名です。



パソコン上で描かれた2次元の絵があっという間に3Dモデルに変換され、それをインタラクティブに切ったりつなげたりする様子は驚愕の一言で、CGの研究者はもとよりエンターテインメント業界にも大きなインパクトを与えました。


ゲーム会社のタイトーから発売された「ラクガキ王国」シリーズもこの「Teddy」の技術を利用して開発されたものです。


五十嵐先生はその後も「3次元着せ替え Sweater」や 「2Dペイント&アニメーション Movingsketch」などの人とコンピュータの間を優しくつなぐ研究を次々と発表されています。




また、今回のSIGGRAPH Asia 2024では、イベントの最後を飾った Real Time Live!において、「Real-Time Virtual Try-On Using Generative AI」の題名で生成AIを使用したリアルタイムの仮想試着システムのデモンストレーションのMCも担当されていました。



ちなみに、冒頭の掴みで、「今後こういうことをやろうとする人のために言っておきますが、カンファレンスのチェアとReal Time Live!の発表者を兼任するのはすごく大変だから絶対にやらない方がいいですよ!」と会場に話しかけて、オーディエンスの笑いを誘って場の空気を温めていました。


そういえば、AICUの編集長、しらいはかせもSIGGRAPH ASIA 2018、2019でReal Time Live! の発表を行っていましたが……。




「最終日のたった7分間のために、すべてを投じるReal Time Live!と、他のSIGGRAPHイベントを並列させるだけでも大変なのに、会議全体のチェアがやるなんて、絶対やめたほうがいいよ!」とコメントしてました。




それでは、最初はこちらの質問から。


今回のテーマに”Curious Minds(好奇心旺盛な心)”を選んだ理由をお聞かせください。

五十嵐先生「私は大学の教員なのでグラフィックへのアプローチはアカデミックの方からになるのですが、研究のモチベーションはどこから来てるのかなって考えた時、好奇心が一番大きい様に思いました。

見たことも無いものを見たいとか、まだ誰も知らないことを調べてみたいとかいう探求心や好奇心といったものが学術的な研究の背景にあったなと。

SIGGRAPHには色々なプログラムがありますが、元々、学術的な学会から始まったので、今回はちょっと初心に立ち返ってみたいなという気持ちがあったということですね。

また、SIGGRAPHには、テクノロジーとアートとサイエンスの3つの側面があって、どれも結局は好奇心や新しいことをやってみたい気持ちが背後にあったと思うので、じゃあそれをテーマにしようという発想です。

それが最初ですね。

ただ、”Curiosity(好奇心)”だけだと物足りないので”Minds(心)”を付け加えました。

ポイントは複数形になっているところです。

好奇心を持った人たちが集まって議論したり、ほかの人がやっているものを見て自分の好奇心が刺激されたりとか、逆に誰かの好奇心を刺激できる様なものを見せるっていう様な感じで、好奇心を持った人たちがSIGGRAPH Asia 2024に集まって自分たちの好奇心をさらにRevive(元気づける)させる。

そして、ここで得たものを帰ってから自分たちの好奇心が追求するテクノロジー・アート・サイエンスに関する活動を続けるためのモチベーションにして欲しい、という気持ちでこのテーマにしました。」


とても五十嵐先生らしいお答えです。

これは以前にうかがったお話なのですが、「Teddy」の次に何を研究しようかと考えていた時、「Teddy(この場合はクマのぬいぐるみ)がシャツを脱ごうとしてモゴモゴしている様子はきっと可愛いだろうなあ。」と思い立って、クロスシミュレーションの研究を始めて出来上がったのが「 Sweater」ということでした。

五十嵐先生の心の中は今も昔と変わらず好奇心でいっぱいの様です。

続いての質問は、


今回の傾向についてはどの様に捉えていらっしゃいますか?

「全部を見ているわけではないですけど、論文については、Reconstruction(再構成する、再構築する)の研究は増えてますね。

写真をいっぱい撮って3次元にするとか。

あとはジェネレーティブAIで画像を作るのを如何に制御するかみたいな話が凄く多いですね。

アートについては、やっぱり全ての問題にAIが何らかの形で入って来ているってところでしょうか。

3次元形状を作ったり、アニメーション作ったりとか、流体のシミュレーションとかもマシンラーニングを使ってますし、レンダリングもそうですね。」


確かに今回のSIGGRAPH Asiaでは、「NeRF」や「3D Gaussian Splatting」といった実際の空間を3D空間上に再現する技術の研究が目を引きましたし、元画像のライティングだけ変更したり、モーションキャプチャーのデータのノイズを除去したり、アニメの中割の絵を自動的に生成したりなど、様々な分野でのAIの応用研究が発表されていました。


以上、五十嵐先生へのインタビューでした。


AICUは引き続きSIGGRAPH Asia 2024のレポートを掲載していきますので、これからもお楽しみに!


(取材協力:Koelnmesse Pte Ltd)


Originally published at note.com/aicu on Jan 5, 2025.

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