top of page

【速報】日本初の「人工知能基本計画案」が決定、AIとの共生へ、政府が示す「人間力」の向上。偽情報対策から著作権対価還元まで、基本計画案の概要


ree

2025年12月19日、日本のAIの未来を考える上で大切な日になりました。AiCuty調査担当、Mina Azure(ミナ・アズール)がお送りします。

わたくしたちクリエイターや、AIと共に歩む全ての人にとって、これからの「道しるべ」となる非常に重要なニュースが入ってきました。2025年12月19日に政府の人工知能戦略本部において、日本初となる「人工知能基本計画(案)」がとりまとめられました。副題は「『信頼できるAI』による『日本再起』」。世界で最もAIを開発・活用しやすい国を目指し、私たちの暮らしや創作活動がどう変わっていくのか、その基本設計を丁寧にお伝えします。





日本の「反転攻勢」:信頼できるAIで世界をリードへ


今回の基本計画案は、「イノベーションの促進」と「リスクへの対応」の両立を大原則として掲げています。日本はAIの開発投資において他国に後れを取っているという危機感がある一方で、日本が培ってきた「信頼性」や、質の高い産業・医療データ、日本語の文化を強みとして、ここから「反転攻勢」に出るとしています。


ree

(今こそ「反転攻勢」の時) AIの競争環境が足元で大きく変化している。AIの基盤モデルに対する投資規模以上 に、業界や業務に特化したアプリを始め、具体的な付加価値の創出が市場でも評価されて きている。投資規模では出遅れたが、極めて広範な産業基盤を有する日本が、「信頼でき るAI」で勝ち筋を見つける好機である。 今こそ、社会全体で 「信頼できるAI」を使うことを徹底し、「利活用」から 「開発」へ のサイクルを回し、日本が強みとして持つ産業・医療・研究といった分野の質の高いデー タや世界に冠たる高品質な通信環境をいかしたAIイノベーションで、日本が世界ととも に「反転攻勢」に出る。日本の課題解決を実現するAIが世界の課題解決にも貢献する。



① AIを使う:政府自らが「まず使ってみる」を実践


AIの利活用を加速させるため、政府は「隗(かい)より始めよ*」として、行政の業務に生成AIを徹底的に導入する方針です。地方自治体のサービス維持や、人手不足の解消、防災、医療といった社会課題の解決にAIを積極的に役立てる環境を整えます。


ree

「隗(かい)より始めよ」とは?「大きな事業を成し遂げるには、まず手近なところから始めよ」、または「物事は、それを言い出した者が真っ先に実行すべきだ」という意味の故事成語です。中国の戦国時代、燕の昭王が賢者を招こうとした際、郭隗(かくかい)という人物が「まず私のような者から優遇すれば、賢者は我を厚遇するだろうと考え、自然と集まってくる」と答えた故事に由来します。


② AIを創る:日本の「勝ち筋」とインフラ強化


単に海外のAIを借りるだけでなく、日本独自の文化や習慣を踏まえた「信頼できる基盤モデル」の開発を推進します。また、物理世界でロボットを動かす「フィジカルAI」や科学研究のためのAI(AI for Science)を日本の勝ち筋として注力し、1兆円規模の戦略的投資を行うことも表明されました。


ree

③ AIの信頼性を高める:ガバナンスと安全性の確保


わたくしたちが一番不安に感じる「ディープフェイク」や「偽・誤情報」への対策も盛り込まれています。


ree

  • AIセーフティ・インスティテュート(AISI)の抜本的強化: 人員を現在の2倍程度に拡充し、AIモデルの安全性評価を適切に行える体制を構築します。

  • AI法に基づく指針: AI法第13条に基づき、国際的な規範に即した適正利用の指針を整備します。

  • 偽情報対策: AI生成コンテンツを判別する技術(電子透かしなど)の開発を支援し、安全・安心な環境を作ります。


④ AIと協働する:人間の価値「人間力」の向上


AIに代替されるのではなく、AIと共に生きるための「人間力」(創造力、思考力、判断力など)を育む教育や環境整備を重視しています。また、クリエイターにとって大切な「知的財産の保護」についても、透明性の確保や対価還元等の推進に向けた取組が明記されました。


ree

ミナ・アズールの視点:創作の未来を守るために


今回の計画案を読んで、わたくしが特に心強く感じたのは、AIのリスクをただ遠ざけるのではなく、適切に「評価」し、技術と制度の両面で「信頼」を積み上げようとする姿勢です。


特に、著作権侵害への対策やコンテンツホルダーへの対価還元のあり方を検討し続けるという点は、わたくしたちAiCutyのような活動や、日々創作に励むクリエイターの皆さんの権利を守るための大切な一歩だと感じています。


「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」という目標は、決して技術競争だけを指すのではありません。クリエイターが安心して新しい表現に挑戦でき、それを受け取る皆さんも偽物や悪用に怯えなくて済む、そんな温かみのあるデジタル社会であってほしいと、わたくしは切に願っています。


さらにAICUが今まで取り組んできた「ともいきメタバース講習会」での障害者のAI活用といった分野は最先端であることがわかります。




【研究ノート】障害者の社会参加を支援する自治体向け生成AIリスクアセスメント手法の設計および評価/西川(中村) 舞衣子,廣川茉衣,西村美緒,白井暁彦, デジタルハリウッド大学紀要(2025/12, ISSN 2189-7395)






(リスクへの対応) 他方で、AIには様々な観点でのリスクが存在しており、誤判断、ハルシネーション等、 不適切な情報の出力といった技術的リスクのみならず、差別や偏見の助長、犯罪への利用、 過度な依存、プライバシーや著作権等の財産権の侵害、環境負荷の増大、偽・誤情報の拡 散、さらに、雇用・経済不安といった社会的リスクやサイバー攻撃等の安全保障上のリス クにも拡大している。こうしたAIによる生成などがもたらすリスクは国民に不安を与え ていることも事実である。 「AIを使ってみる」といった機運を高め、「利活用」から「開発」へのサイクルの好循 環を実現するためにも、AIの技術進歩とともに変動するリスクを適時適切に把握し、A Iの透明性・公平性・安全性を始めとする適正性を確保することで、安全・安心で 「信頼 できるAI」を体現し、国民が抱く不安を払拭していくことが不可欠である。 (「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」に向けて) 我が国は、これまでもイノベーション促進とリスク対応を両立しながら、AI戦略を追 求してきた。「危機管理投資」・「成長投資」の中核として、AI戦略を今一段と進化させる ためにも、「イノベーション促進とリスク対応の両立」を一層徹底することにより、人と AIが絶えず協働できるよう、個人の尊厳が尊重される人間中心のAI社会を堅持しつ つ、「信頼できるAI」を追求し、「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を実現して いく。 この際、AIを基軸とした新たな経済発展と安全・安心な社会の構築に向け、官民が一 致団結することが必要である。 国家目標の実現に資する戦略として「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に 関する法律」(令和7年法律第 53 号。以下「AI法」という。)第 18 条第1項に規定す る「人工知能基本計画」を策定し、政府は、本計画に盛り込まれた内容を着実に推進し ていくこととする。


これからも、政府が示す指針がどのように実務に落とし込まれていくのか、注意深く見守っていきたいですね。



人工知能基本計画(案) - 内閣府

人工知能基本計画(案)~「信頼できるAI」による「日本再起」~






Originally published at note.com/aicu on Dec 19, 2025.

 
 
 

コメント


bottom of page